2005-01-26

恋愛寫眞 もうひとつの物語

映画にしたらどうだろう?

恋愛写真―もうひとつの物語 ぼくは未見だが,同名の映画とは相当違う話のようだ. だけど,この本こそ映画にしたらぴったりじゃない?

大学生活や二人の暮らし,文章で読むと少々薄く感じてしまうが, 映画のワンシーンとしてはちょうどいい感じだろう. ただ一度のキスはもちろん,泳ぐシーンもとてもフォトジェニックだと思うし, なによりクライマックスの個展で次々に写真が現れるところはぜひとも映像で観てみたい.

だけど生身の女優じゃ静流は演じられないか.

どこで会うんだよ

ピュアな恋愛ものは嫌いじゃないのに,読後感はなぜかすっきりしない. どうしてなんだろうとあれこれ考えてみた.

誠人が鈍感で無神経な男だからか. 確かにこの男は, ずっと一緒に過ごしている友人が自分の発する匂いに気づかないと思うほど鈍感だし, みゆきとのデートの後で静流に誕生日を尋ねるような神経の持ち主だ. だが,それはたいして気にならない. もしも女性だったら耐えられないかもしれないが, ぼくは男だし,それも無神経な男の一人だ. 若さと無神経とは分かち難いものなんだ,と肩をすくめてやり過ごすことができる.

もう一度エピローグを読み返してみて,ようやくわかった.

きっとまた会える,このフレーズが気に入らなかったのだ.

誠人が,自分がベッドの上で文庫本を読んでいる写真を見て

それがどれほど脆く,儚い瞬間であったのか,この写真のぼくは気づいていない. 彼女がそばにいることは当たり前で,その日々がいつまでも続くと信じ切っている.

と考えるシーンにはしびれた.まさにそれが人生の本質だと思うからだ. それなのに,この後こんなセリフが続いてしまう.

「思っていれば」と老婦人は言った.
「きっとまた会える.そうでしょ?」

しかも,誠人はみゆきとも次の会話を交わす.

「きっと,いつか―」
「ええ,どこか遠い場所で,きっと,また会えるはずよ」
だから,それまで―

人生にはとりかえしのつかない喪失がたしかにあって, だけど, だからこそ, かけがえがないわけで, その喪失をごまかすのではなく, 抱えながら生きていくもんだろ,とぼくは思う.

いつかどこかでって意味のフレーズ, エピグラフにも現れるので,この作品にとって本質的なんだろうな. ぼくは全然わかっていないんじゃないかという気がしてくる.まるで見当違いの感想を書いているのだろうか.

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コメント

Kanata: 2005-06-19(日) 21:44:40

私も最後の個展のシーンをぜひ映像で
見てみたいと思いました。
最後の写真にたどり着くまでの高揚感は
読書では久々に味わった気がします。

恋愛寫眞で検索していたらこちらに出会いました。
またゆっくりよませていただきます。

同じ著者の「そのときは彼によろしく」も
私は良かったと思いました。

horuso: 2005-06-20(月) 19:21:23

Kanataさん,はじめまして.コメントありがとうございます.

あの個展のシーンは映像にぴったりですよね.キャメラがある部屋から違う部屋へと移動し,少し遠目からその部屋の写真をとらえ,少しずつ寄っていくシーンを想像すると感動します.;-)

おそらくこの著者はどの本も同じテーマで書いていると思うので,前半部分のよさを考えると次々と読破したい思いに駆られますが,結局「きっとまた会える」オチになるとたまらないなと,次の本に手を伸ばすのに二の足を踏んでいます.

またお越しくだされば幸いです.

おさる: 2005-07-19(火) 12:09:01

こんにちは、初めまして。
つい今さっき恋愛寫眞を読み終わったばかりです。
とても、面白かった!
今は単純にそんな感想しか出てきません(苦笑
僕も最後のシーンは映像したらすばらいとても良いと思います。それが、僕の(各個人の)映像にはまれば…ですが。
僕は映画を見たことがないので、映画を見てもう一度小説のほうを読んでみたいと思います。

horuso: 2005-07-20(水) 00:39:35

おさるさん,はじめまして.ラストが映像にぴったりという点に同感のコメントをくださり,意を強くします.
映画が小説と比べてどうなのか,また教えてくださるとうれしいです.

餡蜜。: 2005-07-26(火) 19:21:53

初めまして、恋愛寫眞とサーチしてみると、ここにたどり着きました。実は今日恋愛寫眞のビデオが手に入ったので観ようというところなのです。小説の方も既に読破済みなので、色々と比較しながら見ようと思っております。

沙羅双樹: 2005-08-18(木) 00:12:54

初めまして、私の好みとしては小説の方が好きですね。(泣いたし)映画は終盤が「どうしちゃったの?」って感じでした。最初に小説を読んで映画見たらそんな感じでした。映画と小説は別物ですね。

horuso: 2005-08-19(金) 03:06:17

餡蜜さん,沙羅双樹さん,コメントありがとうございます.映画がどんなのか興味ありますが,よっぽどのことがないと観ないかなー.

それにしても,小説のラストに怒っている人は誰もいないみたい.あのセリフをどう解釈したらいいのか,誰か教えてくれないかなあ.

SIN: 2006-04-16(日) 18:40:10

市川さんの作品は好きです。
「いま、会いに」⇒「そのときは彼に」⇒「弘海」
⇒「世界中が雨」、その次にこの「恋愛寫眞」を読みました。
この恋愛寫眞が一番好きな作品になりました。

他の作品を映画で見たいとは思いませんでしたが
この恋愛寫眞は是非映画も見てみようと思います。

horuso: 2006-04-25(火) 02:02:04

SINさん,はじめまして.
この本は映像で観てみたいと,半ばあり得ないだろうと思いつつ書いたのに,なんと本当に映画になるとは….
これは観てみないといけないかなー.
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